完全数(496や8128)とは?一覧とその求め方【公式の証明もわかりやすく解説】

こんにちは、ウチダショウマです。

いつもお読みいただきましてありがとうございます。

さて、皆さんは”完全数“という数をご存じでしょうか。

小さい順から $4$ つ挙げてみると…

  • $6$
  • $28$
  • $496$
  • $8128$

これだけ見ても、大分珍しい数であることが予想できますよね。

ウチダのアイコン画像ウチダ
$6$ という数は神がこの世を作ったのにかかったと言われている日数で、$28$ という数は月の公転周期です。ここから「完全数」と名前が付けられています。

「神は $7$ 日目休んだとされていて、そこから現在の $1$ 週間が作られた」というのは、有名な話ですよね。

数学太郎のアイコン画像数学太郎
へ~!完全数って面白そうだね!完全数の定義からちゃんと知りたいな。
数学花子のアイコン画像数学花子
完全数の求め方の公式とか、面白い性質とかがもしあったら、わかりやすく解説してほしいわ。

よって本記事では、「完全数とは何か」その定義や一覧から、完全数の求め方の公式の証明、さらには完全数に成り立つ美しい性質まで

  • 東北大学理学部数学科卒業
  • 教員採用試験に1発合格 → 高校教諭経験アリ

の僕がわかりやすく解説します。

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目次

完全数とは?【実はまだ「51」個しか発見されていません。】

完全数についてのポイントを $2$ つまとめておきます。

  1. 完全数の定義 …自分自身を除く正の約数の和に等しくなる自然数のこと。
  2. すべての完全数 $51$ 個は、$2^n(2^{n+1}-1)$ の形で表すことができる。

ここで、”すべて”と表記しましたが、これは2019年11月14日現在のお話。

つまり、完全数に対して未だ判明していない事実はたくさんある、ということです。

ウチダのアイコン画像ウチダ
実は、今見つかっている完全数 $51$ 個すべてが偶数で、奇数の完全数は見つかってないのです。奇数の完全数については、存在しないだろうという意見が大半ですが、未だ証明はされていません。
数学太郎のアイコン画像数学太郎
へ~。完全数って奥が深いんだね。ここで一度、完全数の定義の理解を深めておきたいな。

ということで、冒頭に挙げた例のうち $6$,$28$,$496$ が本当に完全数であるか、一度確認しておきましょう。

6,28,496が完全数である確認

$6$ の正の約数は $1$,$2$,$3$,$6$ なので、自分自身(つまり $6$ )を除く和を考えると、

$$1+2+3=6$$

の計算式が成り立ちます。

他も同様に、$28$ の正の約数は $1$,$2$,$4$,$7$,$14$,$28$ なので、

$$1+2+4+7+14=28$$

$496$ の正の約数は、$1$,$2$,$4$,$8$,$16$,$31$,$62$,$124$,$248$,$496$ なので、

\begin{align}1+2+4+8+16+31+62+124+248=496\end{align}

※この数式は横にスクロールできます。(スマホでご覧の方対象。)

…計算で簡単に確認できるのは、せいぜいここまででしょう。

さて、ここからはいよいよ、完全数を生み出す公式について、詳しく解説していきますよ!

完全数を生み出す公式とは?

ポイント②でも紹介した式を深掘りしていきます。

【完全数を生み出す公式】
$M_n=2^{n+1}-1$  と定義する。
ここで、$M_n$ が素数であるとき、$$2^nM_n$$は完全数となる。
また、偶数の完全数はこの形に限られる。

この $M_n$ のことを「メルセンヌ数」と呼び、特に素数である $M_n$ のことは「メルセンヌ素数」と呼びます。

ウチダのアイコン画像ウチダ
つまり、現時点では「新たなメルセンヌ素数の発見 $=$ 新たな完全数の発見」となっています。メルセンヌ素数についての詳細は「メルセンヌ素数と完全数の美しいつながり【二進数表示もキレイです】」の記事をご覧ください。

ではこの公式が本当に成り立つのか、皆さん疑問に思っているかと思いますので、証明の基本に基づき

  • 十分性
  • 必要性

の $2$ つに分けて考えていきましょう。

【完全数の公式】十分性の証明

ゴールを明確にするため、今から証明することを一度明らかにしておきます。

【完全数の公式の十分性】
$M_n=2^{n+1}-1$ とする。
このとき、$M_n$ が素数ならば、$2^nM_n$ は完全数である。

それでは早速証明していきましょう!

いろいろと予備知識はありますが、実際の証明の中で適宜補足しながら解説していきます。

【十分性の証明】

$2^nM_n$ が完全数となることを示せばOK。

ここで、自然数 $n$ の正の約数の総和を $S(n)$ とする。
※$S(n)$ のことを「約数関数」と呼びます。

このとき、$$S(2^nM_n)=S(2^n)S(M_n) …(※1)$$

となることを利用する。

ⅰ)$S(M_n)$ を求める

正の約数の総和の求め方には素因数分解が必要であるが、$M_n$ は素数であることから、

\begin{align}S(M_n)&=1+M_n\\&=1+2^{n+1}-1\\&=2^{n+1}\end{align}

と求まる。

≫参考記事:約数の個数と約数の総和の求め方とは?【公式は素因数分解で導きます】

ⅱ)$S(2^n)$ を求める

上記の参考記事より、$$S(2^n)=1+2+2^2+…+2^n$$

ここで、初項が $1$,公比が $2$,項数が $n+1$ の等比数列の和であることから、

$$S(2^n)=\frac{1(2^{n+1}-1)}{2-1}=2^{n+1}-1$$

と求まる。

≫参考記事:等比数列の和~(準備中)

よってⅰ)ⅱ)より、

\begin{align}S(2^nM_n)&=2^{n+1}(2^{n+1}-1)\\&=2×2^nM_n …(※2)\end{align}

したがって、正の約数の総和が自分自身の $2$ 倍となることから、$2^nM_n$ は完全数である。

(証明終了)

以上、まあまあ簡潔に書いてみました。

解答中の

  • $※1$ … なぜ約数の総和はそのように表せるのか
  • $※2$ … 完全数の定義って、それでいいの?

について補足します。

※1.約数の総和について

これは、$n$ と $m$ が互いに素な自然数であるとき、$$S(nm)=S(n)S(m)$$

と表せることを利用しています。

完全数の公式における十分性の証明【約数関数の性質】

今回の場合、仮定より $M_n$ が素数であり、$2^n$ は素因数 $2$ しか持たないため、互いに素であることは明らかですね。

≫参考記事:互いに素な自然数とは?【応用例7選もわかりやすく解説します】

※2.完全数の定義の発展形

たとえば完全数 $6$ の場合、$1+2+3=6$ の式が成り立ちました。

この両辺に $6$ を足してみると、$1+2+3+6=2×6$ となりますね。

このことから、完全数の定義を「正の約数の総和が、自分自身の $2$ 倍となる数」とも言い換えることができますね。

ウチダのアイコン画像ウチダ
以上が「十分性の証明」でした。必要性の証明はこれより少し難しくなりますが、丁寧に解説していくので、安心して続きをどうぞ!

【完全数の公式】必要性の証明

必要性の証明のゴールは、以下の通りです。

【完全数の公式の必要性】
$M_n=2^{n+1}-1$ とする。
このとき、すべての偶数の完全数は、素数 $M_n$ を用いて $2^nM_n$ という形で表すことができる。

$M_n=2^{n+1}$ が素数となるような $n$ で、偶数の完全数を $2^nM_n$ と表すことができればOKです。

何が仮定で何がゴールかわかりづらいときこそ、これらを明確にすることは大切ですね。

【必要性の証明】

偶数の完全数 $N$ を $N=2^nK$ と表してみる。( $K$ は奇数)

このとき、$K=M_n$ となり、その $K$ が素数であることを確認できればOK。

まず、$K$ が奇数、$2^n$ が偶数より、互いに素であることは明らかなので、$$S(N)=S(2^n)S(K) …①$$

と表せる。

ⅰ)左辺について

仮定より、$N$ は完全数なので、$$S(N)=2×N=2^{n+1}K$$

ⅱ)右辺について

$S(2^n)=2^{n+1}-1$ は十分性の証明のときに求めた。

$S(K)$ は未知数。

よってⅰ)ⅱ)を①の式に代入すると、$$2^{n+1}K=S(K)(2^{n+1}-1) …①’$$

この①’の両辺を見比べると、$S(K)$ が偶数でなければ成り立たないことに気づく。

完全数の公式の証明【必要性】

よって、$S(K)$ は $2^{n+1}$ の倍数となるはずだから、ある自然数 $A$ を用いて$$S(K)=2^{n+1}A$$と表せる。

これを①’に代入すると、$$2^{n+1}K=2^{n+1}A(2^{n+1}-1)$$

両辺を $2^{n+1}$ で割って、

\begin{align}K&=(2^{n+1}-1)A\\&=M_n×A\end{align}

となるので、$A=1$ を示すことになる。

(証明中断)

いかがでしょう。

ここまでは十分性の証明とかなり似通っていると思います。

あとは $A=1$ を示し、$K$ が素数であることを確認すれば証明完了です♪

どうやって $A=1$ を導けばよいか」少し考えてみてから続きをご覧ください。

↓↓↓

【証明再開】

ここでは背理法を用いて示していく。

つまり、$A≠1$ と仮定したとき、矛盾を導ければOK。

$A≠1$、つまり $A≧2$ と仮定すると、$K$ の約数として $1$,$A$,$(2^{n+1}-1)A$ が少なくとも挙げられる。

よって、

\begin{align}S(K)≧1+A+(2^{n+1}-1)A&=1+2^{n+1}A\\&=1+S(K)\end{align}

となる。

※最後の式変形は $S(K)=2^{n+1}A$ と表せたことを利用。

つまり、$S(K)≧1+S(K)$ の式が成り立ち、これは明らかにおかしい。

よって背理法より、$A=1$ であることが示せた。

つまり、$K=M_n$ であることがわかり、ここから

\begin{align}S(K)&=2^{n+1}\\&=M_n+1\\&=K+1\end{align}

がわかる。

$S(K)=K+1$ の式の意味とは、「 $K$ の約数の総和は、$1$ と $K$ 自身の和」なので、これは素数の定義そのものである。

したがって、$K=M_n$ かつ $K$ は素数であることが確認できたので、証明終了です。

(証明終了)

この証明を簡潔にまとめると、

  • $K$ と $S(K)$ を自然数 $A$ を使って表す。
  • $A=1$ を背理法で導く。
  • $K$ と $S(K)$ の関係から、$K=M_n$ が素数であることを確認する。

こんな感じです。

ウチダのアイコン画像ウチダ
個人的には、$A=1$ を背理法で示す部分の証明が、美しくて好きです。背理法がよくわからないという方は、「背理法~(準備中)」の記事をご参考ください。
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完全数の美しい性質とその一覧

数学花子のアイコン画像数学花子
証明は大変だったけど、とっても楽しかったわ!それでは最後に、「完全数の美しい性質とは何か」についても教えてほしいな。

最後に美しい性質について解説しますが、これにはがっつり数学B「数列」の知識が必要になってきます。

簡潔に式で表すと…

  1. $6$ 以外の偶数の完全数は、$1$ から連続する正の奇数の立方和、つまり$$\sum_{k=1}^{n}(2k-1)^3$$で表せる。
  2. 偶数の完全数は、$1$ から連続する正の整数の和、つまり$$\sum_{k=1}^{2^{n+1}-1}k$$で表せる。

こうなります。

ためしに $28$ と $496$ で確認してみましょう。

  • $28=4×7=2^2M_2$ である(つまり $n=2$ )。
    たしかに $28$ は、$$28=1^3+3^3$$$$28=1+2+3+4+5+6+7$$と表すこともできる。
  • $496=16×31=2^4M_4$ である(つまり $n=4$ )
    たしかに $496$ は、$$496=1^3+3^3+5^3+7^3$$$$496=1+2+3+…+30+31$$と表すこともできる。

なかなか美しいですね~。

ウチダのアイコン画像ウチダ
Σ は「シグマ」と読み、和を意味します。「シグマの公式~(準備中)」の記事を理解すれば、意外と簡単にこの性質は示せますよ^^

最後に、$1$ 兆以下の完全数一覧をどうぞ。

$2^nM_n$ の形$n+1$ の値対応する完全数
$2^1M_1$$2$$6$
$2^2M_2$$3$

$28$

$2^4M_4$$5$$496$
$2^6M_6$$7$$8128$
$2^{12}M_{12}$$13$$33550336$
$2^{16}M_{16}$$17$$8589869056$
$2^{18}M_{18}$$19$$137438691328$

参考文献:List of perfect numbers

小さい順に $7$ 番目の完全数でさえ、ここまで大きな数になってしまうのですね~。

ちなみに、この表にはとある面白い事実が含まれています。

そうです。$n+1$ がすべて素数になっていますね!

ただ、たとえば $n+1=11$ のとき、$2^{10}M_{10}=1024×2047=2096128$ となりますが、この数は完全数ではありません。
≪理由≫ $2047=23×89$ より、$2047$ が合成数となってしまうからです。

$n+1$ が素数だからといって、必ずしも完全数が作れるわけではないということです。

この事実に興味がわいた方は、「メルセンヌ素数と完全数の美しいつながり【二進数表示もキレイです】」の記事で詳しく解説してますので、ぜひこちらもあわせてご覧ください。

完全数が出てくる映画といえばコレ!

本記事の要点をまとめます。

  • 完全数とは、正の約数の総和が自身の $2$ 倍となる数のこと。
  • 偶数の完全数は $2^n(2^{n+1}-1)$ の形に限られる。奇数の完全数はないと思われる(未解決問題)。
  • 新たなメルセンヌ素数の発見と、新たな完全数の発見は、$1$ 対 $1$ に対応している。

僕は、「博士の愛した数式」という映画を見て、初めて完全数を知りました。

深津絵里さん演じるヒロインが $28$ の性質に気づいたとき、博士が「それは完全数だね。」と解説します。

ウチダのアイコン画像ウチダ
数学好きの方は必ずハマりますし、数学があまり好きでない方でも、好きになるきっかけ作りとして非常にいい映画です。というか、一般的な映画として見ても、心にじ~んと響く良作だと思います。

ぜひ皆さんに見てもらいたい映画です。

博士の愛した数式」の本が読みたい方はこちらから

「整数の性質」全 25 記事をまとめました。こちらから次の記事をCHECK!!

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以上で終わりです。

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コメント

コメント一覧 (2件)

    • 音暖香様
      コメントありがとうございます!

      確かに完全数とは何か、その公式まですべて理解するのは難しいですよね。。
      かなりわかりやすく解説しようと試みてはおりますが、力不足で中々上手く伝えられないものです。
      しかし、完全数の美しさを少しでも感じ取っていただければ、それは私の本望であります。

      ぜひこれからも『遊ぶ数学』を何卒よろしくお願いいたします。

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