こんにちは、ウチダです。
小学校の算数の時間に習う「割り算」ですが、
「0で割ってはいけない」
理由をきちんと説明できるでしょうか?
実際に電卓で$5÷0$とか$0÷0$と打ち込むと、「Error(エラー)」と表示されてしまいます。
今日は「なぜ0で割ることができないか」割り算の定義から考えて、答えを出してみましょう。
0で割るとは?
まずそもそも、「 $0$ で割る」とはどういう状況でしょうか。
たとえば、$$6÷3$$であれば、「 $6$ 個のりんごを $3$ 人に分けたんだなあ」と考えることができますし、$$7÷4$$であれば、「 $7$ 個のバナナを $4$ 人に分けるけど、これだと余りが出ちゃうなあ」と考えられますよね。
これと同じように、$$6÷0$$について考えてみると、「 $6$ 個のりんごを $0$ 人に分けた」つまり「りんごを分けていない」ということになってしまいますよね…
よって、りんごをそもそも分けていないのだから…
6÷0の答えはない!!!
という結論になります。
だから、0で割ってはいけないよ~ということになるのです。
今はすごい感覚的にお話をしましたが、これを論理的に考えていくと果たしてどうなるのか、気になりますよね!
次の章から詳しく見ていきましょう。
0で割ることを定義から考える
そもそも割り算の定義ってなんでしょう…
さきほど、りんごの話をしましたが、実はこれは割り算の使い方であって、定義ではありません。(ここは要注意です。)
割り算の定義を忘れている方も多いと思いますので、まとめておきます。
「ある数□で割る」というのは、「□の逆数 $\displaystyle \frac{1}{□}$ をかける」に等しい。
分数の割り算のときに「逆数をかける」と習いましたよね!
実はこれが割り算の定義だったんです。
ここで逆数についておさらいしておくと、逆数とは「かければ1になる数」ですね!
つまり、$2$ の逆数は$$\frac{1}{2}(=0.5)$$だし、$\displaystyle \frac{3}{7}(=0.428571…)$ の逆数は$$\frac{7}{3}(=2.3333…)$$だということです。
では $0$ の逆数を考えてみましょうか。
$0$ に何をかければ $1$ になるでしょう…?
あれ?そもそも $0$ って数は…
$0$ に何をかけても $0$ だし、何に $0$ をかけても $0$
という数でしたよね!
つまり、$0$ に何をかけようが $0$ になってしまうので、$$0×□=1$$となる数は存在しないわけです。
よって、$0$には逆数がないので、$0$の逆数をかけることができないから、$0$で割ることもできないよ、という話になります。
りんごの話だけでなく、定義からも考えられるようになると、頭の中がスッキリしますね!
0の逆数が存在したらどうなるのか【結論:1=2が証明できます】
先ほど、「 $0$ に何をかけても $0$ 」だとお話ししました。
では、仮に「 $0$ の逆数」つまり「 $0$ にかければ $1$ になる数」が存在したとしたら、どんなことが起こってしまうでしょう。
なんと、、$1=2$というとんでもない式が成り立ってしまうことになります!!
いったいどういうことなんでしょう。。
0のもう一つの性質
$0$ という数は、本当に特別な数で、
「どんな数に $0$ を足したり引いたりしても変わらない」
という性質もありましたね。
つまり、$$2+0=2$$だし、$$7-0=7$$だということです。
ではこの性質を使って、$1=2$を証明していきましょう。
↓↓↓
【証明】
$0=0+0$は成り立っている。
この式の両辺に、$0$ の逆数 $\displaystyle \frac{1}{0}$ をかけると、$$0×\frac{1}{0}=(0+0)×\frac{1}{0}$$
ここで、右辺に分配法則を使い、両辺を計算すると、$$1=1+1$$
よって、$1=2$が証明された。
(終了)
…やばいことが起きましたね!
そう、この原理を応用させれば、$1=3$でも、$5=7$でも、なんでも示せてしまうことになります…!
$0$ を何個足しても $0$ ですから、$0+0+0=0+0+0+0+0$ の式に同じことをすれば $3=5$ が示せます。
したがって、「0の逆数が存在する」ということは、「数という考え方そのものがほろぶ」といっても過言ではありません。
このことからも、「0の逆数はあってはいけない数なんだ」と理解できると思います。
「分配法則」に関する詳しい解説はこちらから
「0で割る」と「0を割る」の違い
最後に、よく間違いやすい「$0$ で割ることと $0$ を割ることの違い」について話します。
今までの話から分かるとおり、$0$ で割ってはいけません。
しかし、$0$ を割ることには何の問題もありません。
いったいどういうことでしょうか。
たとえば、「りんご $0$ 個を $5$ 人に分けよう」としてみましょう。
このとき、そもそもりんごがないわけですから、誰もりんごをゲットできないですよね。
これを式にすると、$$0÷5=0$$ということになります。
よって、$$0÷6=0$$だし、$$0÷\frac{2}{3}=0$$だということがわかります。
$0$ をどんな数で割っても $0$ なわけですね。
「0で割る」と「0を割る」のちがい、なんとなくわかりましたか?
0を割る…分ける人はいるけどりんごがない→答えは0
図で表すとこんな感じです。
ここの違いはしっかり押さえておきましょうね♪
0で割ることに関するまとめ
いかがだったでしょうか。
今日は、「 $0$で割ることができない」理由を、さまざまな角度から解説してみました。
ここの話は、高校生でも意外とわかっていなかったりするので、ぜひ理解を深めておきましょう^^
おわりです。
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コメント一覧 (2件)
こうなってしまうがゆえに微分ではlimをつかうんですよね
そうですね。lim(x→0)1/xと1/0は決定的に違いますからね。