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漸近線の求め方や意味や定義とは?【分数関数や双曲線】

こんにちは、ウチダです。

今日は、数学Ⅱで初めて登場するが詳しくは数学Ⅲで習う

「漸近線」

について、求め方、意味、定義について解説していきます!

主な具体例(分数関数や双曲線)も挙げながら詳しく見ていきましょう♪

漸近線とは

まずは聞き慣れない言葉だと思いますので、定義から入っていきます。

漸近線:十分遠くで曲線との距離が 0 に近づき、かつ曲線と一致しない直線のことである。
Wikipediaより引用

読み方は「ぜんきんせん」です。注意しましょう。

この「漸」という字は、「漸う(ようよう)」とも読むことから、「漸近線≒だんだん近づく線」というイメージを持つといいかと思います。

漸近線を持つ曲線として代表的なものに、小学6年生で習う反比例のグラフがあります。

↓↓↓

この図は$$y=\frac{1}{x}$$という反比例の関数のグラフです。

小学生の時に何気なく書いていたこの反比例のグラフですが、$x$ 軸、 $y$ 軸とは絶対に交わることはありませんよね!

よって、$y=\frac{1}{x}$ のグラフの漸近線は、$$x軸, y軸$$ということになります。

ただ、小学生の時はこれがなぜなのか、理由までは考えなかったですよね。

高校数学ではこの理由について考えていきます。

でも大丈夫です。

この理由については、

  • 極限
  • 微分(増減表)

この2つについてある程度の知識さえあればわかります!

増減表(微分)に関する記事はこちらをどうぞ!

反比例(分数関数)の漸近線

先ほど、$y=\frac{1}{x}$ のグラフの漸近線は、$x$ 軸と $y$ 軸であることがわかりました。

高校数学では、反比例のグラフのような、分母に変数 $x$ がある関数のことを「分数関数」と呼びます。

この分数関数が、「なぜ$x$ 軸と $y$ 軸で交わらないか」は以下の極限についての知識があればわかります。

(漸近線を理解するために必要な極限の知識)
$$\lim_{n\to\infty}\frac{1}{n}=0 ……①$$
$$\lim_{n\to -∞}\frac{1}{n}=0 ……②$$
$$\lim_{n\to +0}\frac{1}{n}=+∞ ……③$$
$$\lim_{n\to -0}\frac{1}{n}=-∞ ……④$$
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別に極限(limit)の知識がなくても、そこまで難しいことではありません。

①、②については、分母が大きくなりすぎちゃったら、ほとんど0になっちゃうよねーということです。

つまり、$$\frac{1}{1000000}=0.000001≒0$$だし、$$\frac{1}{-1000000}=-0.000001≒0$$だということですね。

③、④については、少し注意が必要です。

値が小さくなる時はほとんどの場合0に近づくので符号は無視しても何とかなります。

しかし、値が大きくなる時は、「プラス方向、マイナス方向のどちらに大きくなる(発散する)のか」が非常に重要になってきます。

よって、0にプラス方向から近づけるとき、「 $+0$ 」と表記し、0にマイナス方向から近づけるとき、「 $-0$ 」と表記します。

したがって、$$\lim_{n\to 0}\frac{1}{n}=?$$ということになりますね!(近づけているのがプラスからかマイナスからかで値が変わってくるから。)

ここら辺の話は誤解している方も多いです。

ちなみに、「なぜ $\frac{1}{0}$ という数は存在してはいけないか」についての詳しい解説は、こちらの記事にまとめてあります。

では、以上4つの極限の知識を踏まえて、増減表を書いてみるとどうなるのでしょうか。

↓↓↓

微分の定義より、$$f'(x)=-\frac{1}{x^2}$$となるので、上記のような増減表になりますね。

ちなみに、上の増減表は正確なものではなく、あくまでわかりやすさを重視したものです。

たとえば、$-∞$ や $∞$ というのは数ではないので不適切ですし、「 $-0=+0=0$ 」ですからね。

これらは、「限りなくその数に近づけた時の値(つまり極限)」の意味で使っています。

これだけでもグラフの形はわかりますが、2回微分の記事でも行ったように、$$f”(x)=\frac{2}{x^3}$$を用いるとさらに詳しくわかります。

↓↓↓

第2次導関数の符号がわかれば、グラフの凹凸までわかるので、いよいよグラフの形がはっきりしますね。

そして、この増減表は確かに反比例のグラフの形と一致してます。

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分数関数の漸近線の練習問題

それでは、実際にいろいろな分数関数の漸近線を求める練習問題を解いてみましょう♪

練習問題. 次の関数の漸近線を求め、グラフを書け。
(1) $$y=\frac{2}{x+3}+1$$
(2) $$y=\frac{1}{2x+1}+x-1$$
(3) $$y=\frac{2x^2-x}{2x+1}$$

(1)から順に考えてみて下さい。

【(1)の解答】

$y=f(x)$ とおく。

$g(x)=\frac{2}{x}$ とおくと、 $f(x)$ のグラフは $g(x)$ のグラフを$$x軸方向に-3$$$$y軸方向に+1$$だけ平行移動したグラフである。(ここがポイント!)

よって、漸近線は、$$x=-3$$$$y=1$$の二つの直線であり、グラフは以下のようになる。

↓↓↓

(終了)

増減表を書けばより正確な解答にはなりますが、ここでのポイントは「漸近線はどの直線になるか」ですので、この問題では書かなくても減点されることはめったにないと思います。

このように、単純に反比例のグラフの平行移動であれば簡単に求めることができますが、(2)みたいに、分数以外のところに $x$ が出てきてしまう関数はどうでしょうか。

【(2)の解答】

$y=f(x)$ とおく。

ここで、$$g(x)=f(x)-(x-1)$$とおくと、反比例の関数になる。(ここが最重要ポイント!)

よって、$g(x)=\frac{1}{2x-1}$ なので、$$\lim_{x\to\infty}g(x)=0 ……①$$$$\lim_{x\to -∞}g(x)=0 ……②$$

が成り立つ。

よって、$x$ を∞または-∞に発散させたとき、$y=f(x)$ は $y=x-1$ に限りなく近づくことが分かった。

したがって、漸近線は、$$x=-\frac{1}{2}$$$$y=x-1$$の二つの直線であり、グラフは以下のようになる。

↓↓↓

(終了)

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いかがでしょうか!

結構難しいですよね。

まず一つ目の漸近線 $x=-\frac{1}{2}$ については、分母が0になってはいけない理由からすぐに分かるかと思いますが、問題は二つ目の$$y=x-1$$こっちですよね。

これについては、以下の図がすごいわかりやすいかと思います。

↓↓↓

$x$ を $±∞$ に発散させたとき、$y$ も $±∞$ に発散してしまう関数は、「何の関数に近くなるのか」を考えなければ漸近線を求めることはできません。

今回、$x→±∞$ のとき、$$\frac{1}{2x+1}→0$$であることを利用すれば、ほとんど$$y=x-1$$に近づくことがわかりますね!

数学的には少し議論が足りませんが、このようにグラフを書く場合においては、この方法がめちゃくちゃ有効です!

【(3)の解答】

$y=f(x)$とおく。

ここで、

\begin{align}y&=\frac{2x^2-x}{2x+1}\\&=\frac{(2x+1)(x-1)+1}{2x+1}\\&=x-1+\frac{1}{2x+1}\end{align}

となり、これは(2)と全く同じ関数である。

(終了)

(3)のように、まだ割り算が済んでいない関数については、組立除法などを用いて割り算することでグラフが書けるようになります。

その他の関数の漸近線

では最後に、分数関数以外の関数で、漸近線をよく問われる代表的な関数について、見ていきましょう♪

三角関数($\tan x$)の漸近線

まずは代表例$$y=\tan x$$ですね。

これは三角比の相互関係からわかるように、$$y=\frac{\sin x}{\cos x}$$ですので、分数関数にやや近い形になりました。

ここで、$\cos x≠0$ でなければならないため、どうやら$$x=\frac{π}{2},\frac{3π}{2},…$$これらが漸近線になるであろうことが予測できます。

あとは増減表を書いてあげるだけで、以下のようになります。

↓↓↓

赤い線が漸近線です。

無理関数の漸近線

根号を含む関数のことを「無理関数」と呼びますが、この無理関数の中でも漸近線を持つ代表例がありますのでご紹介します。

$$y=\sqrt{x^2+1}$$こういう「根号の中に $x$ の2乗が含まれた」関数です。

では、この関数の漸近線はいったいどうやって求めればいいのでしょうか…

ここで、分数関数の練習問題(2)を思い出してください♪

(2)では、$x→±∞$ に飛ばしたとき、どんな直線に近づくかを考えました。

ここでも同じです!

「2乗して根号をつけている」というのはつまり、「2乗してから2分の1乗している」ということなので、ほぼほぼ1次関数になるのでは?と予想できます。

ではここで、以下の計算をします。

↓↓↓

\begin{align}y-x&=\sqrt{x^2+1}-x\\&=\frac{1}{\sqrt{x^2+1}+x}\end{align}

このように、分母の有理化の逆を行ってあげると、どうやらこれは$$x→∞$$のとき、0に近づきそうですよね!

※ただ、今回、$x→-∞$ では0に近づくとは言えません。分母の形をよく注意深く見てみて下さい。

そこで、今度は、

\begin{align}y+x&=\sqrt{x^2+1}+x\\&=\frac{1}{\sqrt{x^2+1}-x}\end{align}

また、分母の有理化の逆を行ってあげると、どうやらこれは$$x→-∞$$のとき、0に近づくことがわかります。

以上のことと、増減表を求めることで、グラフの形は以下のようになります。

↓↓↓

ようは、$$x→∞のとき、y=xに近づく$$$$x→-∞のとき、y=-xに近づく$$

この2つのことを、先程の計算では求めていたことになります!

これを応用した例として例えば、$$y=2x+\sqrt{x^2-1}$$なんかも考えられますが、同じように考えれば以下のようにグラフが書けますので、ぜひチャレンジしてみて下さい♪

↓↓↓

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双曲線の漸近線

双曲線の一般形$$\frac{x^2}{a^2}-\frac{y^2}{b^2}=±1$$について考えます。

(例.$x^2-y^2=1$ と $x^2-y^2=-1$ のグラフ)

右辺の値が「+1か-1か」で双曲線のグラフの様子は大きく異なりますが、実は漸近線を求める上では大差ないです。

何故かというと、「$x$ を十分大きくしたときに、どういう直線に近づくか」これが最も重要だからです。

ここで、「十分に大きくする」ということは、つまり「右辺の値が+1だろうが-1だろうがほとんど関係ない」ということになりませんか?

よって、$$\frac{x^2}{a^2}-\frac{y^2}{b^2}=0$$と右辺を0にして考えたいと思います。

この方程式を変形していくと、$$y^2=\frac{b^2}{a^2}x^2$$より、両辺にルートをつけて、$$y=±\frac{b}{a}x$$となりました。(±を忘れずに!!)

よって、$x$ が十分に大きいとき、$y=±\frac{b}{a}x$ に限りなく近づくことが分かったので、漸近線の方程式は、$$y=±\frac{b}{a}x$$であることが分かりました。

厳密な解答ではありませんが、このようにイメージと式を結びつける技術も数学を学ぶ上で有力な武器になりますので、ぜひ押さえておきたいですね♪

漸近線に関するまとめ

いかがだったでしょうか。

今日はいろんな関数のグラフの漸近線を求めましたね。

  • 分数関数(反比例)
  • 三角関数( $\tan x$ )
  • 無理関数
  • 双曲線

漸近線のざっくりとした求め方を知っておくだけで、増減表と組み合わせることによって、グラフをかなり正確に書けるようになりましたね♪

漸近線の美しさを感じていただきたいなと思います。

以上、ウチダでした。
それでは皆さん、よい数学Lifeを!!

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