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三平方の定理(ピタゴラスの定理)の証明まとめ5選【全部でいくつあるの?】

こんにちは、ウチダです。

いつもお読みいただきましてありがとうございます。

さて、中3で「三平方の定理(ピタゴラスの定理)」を学びますけど、その証明は知っていますか?

よく、

数学太郎
三平方の定理は知ってるけど…そういえばなんで成り立つんだ?あんまり考えたことなかったなあ。

こういった声を耳にします。

よって今回は、「三平方の定理(ピタゴラスの定理)はどうして成り立つのか」その様々な証明方法を、

  • 東北大学理学部数学科卒業
  • 教員採用試験1発合格 → 高校教諭経験アリ

の僕がわかりやすく解説します。

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目次

三平方の定理の証明5選【直角三角形や正方形を重ねましょう】

三平方の定理(別名ピタゴラスの定理)とは、底辺が $a$、高さが $b$、斜辺が $c$ である直角三角形において、$$a^2+b^2=c^2$$

が成り立つことでしたね。

この式を証明するポイントを一言で言えば…

直角三角形と正方形を複数個重ねてみる。

これです。

よく「三平方の定理(ピタゴラスの定理)の証明は、一体全部で何通りあるの…?」という声を耳にしますが、その質問は本質的ではありません。

それはなぜか。

これについては下記の文献を参考にしてもらった方がいいでしょう。

全部で $122$ 個もの証明方法が解説されています。

≫参考文献:Pythagorean Theorem and its many proofs

英語のサイトですけど、ようは複雑にしようと思えばいくらでも複雑にできるわけですね。

よって、三平方の定理(ピタゴラスの定理)の証明において重要なのは

  • 1~2通りの方法でしっかりと証明できるようになる。
  • 面白い発想の証明方法を少しだけ知っておく。

この $2$ 点になります。

ここからは、以上を踏まえたうえで、その具体的な証明方法を $5$ つ解説していきます。

ウチダ
三平方の定理を理解するためには、まず応用例を先に知っておくことが大切だと、私は思います。応用例については「三平方の定理(ピタゴラスの定理)とは?【応用問題パターンまとめ10選】」の記事で詳しく解説してます。「 $5$ 問ぐらいしか思いつかない」という方は、こちらの記事から読み進めることをオススメします。

直角三角形を4つ重ねて正方形を作る証明

まずは、一番オーソドックスな証明方法です。

【証明】

図のように、合同な直角三角形を $4$ つ用意すると、正方形が $2$ つできる。

直角三角形を4つ重ねて正方形を作る証明【三平方の定理】

よって、できた図形すべての面積 $S$ を $2$ 通りの方法で表すことができる。

まず、「 $1$ 辺の長さが $a+b$ の正方形」として見れば、$$S=(a+b)^2 ……①$$

次に、「 $1$ 辺の長さが $c$ の正方形と、赤色の直角三角形 $4$ つの合計」として見れば、

\begin{align}S&=c^2+4×\frac{1}{2}ab\\&=c^2+2ab ……②\end{align}

①、②の連立方程式より、$$(a+b)^2=c^2+2ab$$

左辺を展開すると、$$a^2+2ab+b^2=c^2+2ab$$

両辺から $2ab$ を引くと、$$a^2+b^2=c^2$$

(証明終了)

面積を $2$ 通りの方法で表す」という手法は、図形の性質の証明でちょーーーー使います。

その表し方というのは多岐にわたるので、一概にコレ!!

とは言えませんが、頭の中に入れておくとよいでしょう。

直角三角形を2つ重ねて台形を作る証明

【証明】

図のように、合同な直角三角形を $2$ つ用意すると、台形が $1$ つできる。

直角三角形を2つ重ねて台形を作る証明【三平方の定理】

よって、できた図形すべての面積 $S$ を $2$ 通りの方法で表すことができる。

まず、「上底 $a$、下底 $b$ の台形 」として見れば、$$S=(a+b)×(a+b)÷2=\frac{1}{2}(a+b)^2…①$$

次に、「 青色の直角二等辺三角形 $1$ つと赤色の直角三角形 $2$ つの合計」として見れば、

\begin{align}S&=\frac{1}{2}c^2+2×\frac{1}{2}ab\\&=\frac{1}{2}c^2+ab…②\end{align}

①、②の連立方程式より、$$\frac{1}{2}(a+b)^2=\frac{1}{2}c^2+ab$$

両辺を $2$ 倍すると、$$(a+b)^2=c^2+2ab$$

これは $1$ つ目に紹介した証明で登場した式と同じ式である。

(証明終了)

ウチダ
両辺を $2$ 倍したら、$1$ つ目の証明と同じ式が出てきました。これはなぜか。この証明では赤色の直角三角形を $2$ つ使い、$1$ つ目の証明では赤色の直角三角形を $4$ つ使ってます。使う図形が $2$ 倍になっているから、面積も $2$ 倍されている、つまりそういうことですね。よって、本質的には同じ証明方法と言えるでしょう。

正方形を3つ重ねる証明

【証明】

図のように、$1$ 辺の長さが $a$、$b$、$c$ の正方形 $3$ つを重ねる。

正方形を3つ重ねる証明【三平方の定理】

ここで赤色の部分は、$1$ 辺の長さ $a$ の正方形の半分であるから、面積は $\frac{a^2}{2}$ である。

また青色の部分は、$1$ 辺の長さ $b$ の正方形の半分であるから、面積は $\frac{b^2}{2}$ である。

よって、赤色の部分と青色の部分を足すと、$1$ 辺の長さ $c$ の正方形の半分となることより、$$\frac{a^2}{2}+\frac{b^2}{2}=\frac{c^2}{2}$$

両辺を $2$ 倍して、$$a^2+b^2=c^2$$

(証明終了)

さて、画像の中の女の子も疑問に思ってますが…

なんで色が同じ部分の面積は等しいのでしょうか。

これについては、以下のアニメーションをご覧ください。

ユークリッドの証明(三平方の定理)のアニメーション解説

※このアニメーションは $4$ 秒で動き、計 $3$ 枚あります。

ウチダ
等積変形を $2$ 回、三角形の合同を $1$ 回使うことで、青色の部分の面積が等しいことを示すことができました。一方の赤色の部分についても同様です。予備知識については「等積変形とは?台形から三角形に変える問題を解説!【応用問題・難問アリ】」と「三角形の合同条件はなぜ3つ?証明問題をわかりやすく解説!【相似条件との違い】」をご覧ください。

ちなみに、この証明は「ユークリッドの証明」と呼ばれています。

図形的に面白い証明ですよね。

こういう証明を $1$ つぐらい知っておくことは大切だと思いますよ♪

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相似を用いた証明

さて、以上 $3$ つの証明が有名ですが、ここから解説する $2$ つの証明も

  • 三角形の相似
  • 三角形の面積

以上の知識がより深まるので、オススメな証明です。

【証明】

図のように、頂点 $C$ から辺 $AB$ に対して垂線を引き、その足を $D$ とすると、

$$△ABC ∽ △ACD ∽ △CBD$$

が成り立つ。

相似を用いた証明【三平方の定理】

よって、面積比は相似比の $2$ 乗なので、

\begin{align}△ABC : △ACD : △CBD &= AB^2 : AC^2 : CB^2 \\&= c^2 : b^2 : a^2\end{align}

※以降長い数式については、横にスクロールできます。(スマホでご覧の方対象。)

≫参考記事:面積比の公式まとめ【相似比と面積比と体積比の関係もあわせて解説】

したがって、$△CBD+△ACD=△ABC$ であることから、$$a^2+b^2=c^2$$

(証明終了)

相似であることは「2つの角がそれぞれ等しい」ことを利用すればすぐに示せます。

相似比から面積比を導出する考え方については、上記の参考記事をご覧ください。

内接円を用いた証明

【証明】

内接円の半径を $r$ とすると、$$a-r+b-r=c$$の式が成り立つ。

内接円を用いた三平方の定理の証明

式を整理すると、$$r=\frac{a+b-c}{2} ……①$$

ここで、$△ABC$ の面積を $2$ 通りで表す。

まず、底辺 $a$、高さ $b$ の直角三角形であることから、$△ABC=\frac{ab}{2}$

次に、内接円の半径を用いた三角形の面積の公式より、$△ABC=\frac{r}{2}(a+b+c)$

≫参考記事:三角形の面積の求め方とは?sinやベクトルを用いる公式も解説!【小学生から高校生まで】

よって、$$\frac{ab}{2}=\frac{r}{2}(a+b+c)$$

両辺を $2$ 倍し、①を代入すると、$$ab=\frac{a+b-c}{2}(a+b+c)$$

右辺を展開すると、

\begin{align}\frac{a+b-c}{2}(a+b+c)&=\frac{1}{2}\{(a+b)^2-c^2\}\\&=\frac{1}{2}(a^2+2ab+b^2-c^2)\\&=\frac{a^2}{2}+ab+\frac{b^2}{2}-\frac{c^2}{2}\end{align}

両辺から $ab$ を引いて、移項して整理すると、$$\frac{a^2}{2}+\frac{b^2}{2}=\frac{c^2}{2}$$

したがって、$$a^2+b^2=c^2$$

(証明終了)

内接円の半径を用いた三角形の面積の公式は、上記の参考記事にて詳しく解説しております。

三角形の面積をいろんな方法で表すことができるスキルは重要なので、しっかり学習しておきましょう。

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三平方の定理(ピタゴラスの定理)の証明でよく見られる間違い【余弦定理】

ここまで $5$ つの方法で証明してきました。

いかがだったでしょうか。

高校1年生内容を含んでいるものもありますから、別にすべてを理解する必要はありません。

「これは面白い!」と感じたものがあれば、それだけ自分の手で証明しておけば十分だと思います。

さて、それでは最後に。

「三平方の定理(ピタゴラスの定理)の証明でよく見られる間違い編」ということで、やってはいけない証明について考えて終わりにしましょう。

【証明】

余弦定理より、$△ABC$ において、$$c^2=a^2+b^2-2ab\cos ∠ACB$$が成り立つ。

ここで、$∠ACB=90°$ より、$\cos ∠ACB=0$ であるから、$$c^2=a^2+b^2$$

(証明終了)

非常にあっさりとした証明ですね。

ちなみに、高校1年生で習う余弦定理については、「余弦定理の証明とは?角度・面積を求める計算問題や公式の覚え方をわかりやすく解説!」の記事で詳しく解説しておりますので、そちらをご参照ください。

この証明の何がマズいか…。

それはもう一点だけで、「循環論法に陥っているから」ということです。

実は、余弦定理を証明するのに、三平方の定理(ピタゴラスの定理)を使っています。

よって、三平方の定理を証明したいときに、三平方の定理によって証明されている余弦定理を用いるのは、明らかに不適切ですよね。

もちろん、余弦定理と三平方の定理を結び付けて理解することは非常に良いことです。

ただ、

  • 証明に用いている前提条件は何か
  • それは循環論法を招いていないか

以上のことに注意することも数学的に重要です。

証明の際には、ぜひこれを意識的に思い出すようにしてみてはいかがでしょうか。

三平方の定理(ピタゴラスの定理)の証明に関するまとめ

もう一度、本記事の要点だけまとめておきます。

  • 証明の基本は「直角三角形か正方形を複数個重ねる。」これだけ!
  • 面白い証明方法としては「ユークリッドの証明」「相似を用いた証明」「内接円を用いた証明」などがある。
  • 余弦定理を用いた証明は、循環論法なのでダメ🙅。

実は三平方の定理(ピタゴラスの定理)は、その逆もまた成り立ちます。

三平方の定理の逆については、以下の記事で詳しく解説しておりますので、よろしければあわせてご覧ください。

あわせて読みたい
三平方の定理の逆はなぜ成り立つ?【わかりやすく解説】 「三平方の定理の逆(ピタゴラスの定理の逆)」について知りたいですか?本記事では、三平方の定理の逆を用いる問題の解き方や、その証明など、わかりやすく解説します。「三平方の定理の逆」をマスターしたい方は必見です。

以上ウチダでした~。

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コメント一覧 (7件)

  • もう一つ、気になる点。
    「直角三角形と正方形を複数個重ね」るという説明がありますが、どの場合も図形を重ねてはいません。配置しているだけです。
    日本語は正しく使いたいものです。

  • 同一図形の面積を表した二通りの式を連立方程式と呼ぶのは誤りだと思います。これは方程式ではありません、恒等式です。

  • 「三平方の定理(ピタゴラスの定理)の証明でよく見られる間違い【余弦定理】」とありますが、(第2)余弦定理の証明を「ピタゴラスの定理」を使わずに、第1余弦定理から導くと循環論法に陥らないと考えますので、一概には誤りとは言えないと思います。

  • 「三平方の定理(ピタゴラスの定理)の証明でよく見られる間違い【余弦定理】」とありますが、(第2)余弦定理を「ピタゴラスの定理」を使わずに、第1余弦定理から導くことで、循環論法を回避できると考えますので、一概にはそう言えないと思います。

    • その通りですね。
      記事を書いた方は三平方の定理から導く証明法しか知らないのでしょう。

  • 数学のレポート課題に使わせて頂きました。
    大変わかりやすい説明で簡単に理解することができました。
    ありがとうございました。

    • いんげん様
      お役に立てて何よりです!^^
      今後とも遊ぶ数学を何卒よろしくお願いいたします。

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